あたしのパパは、狼人間です。
狼人間って、知ってますか?パパは、狼じゃありません。でも、月に一度、満月の夜には狼になってしまいます。そういう病気なんだそうです。
はじめは、びっくりしました。「パパはね、狼人間なんだよ」。
意味が分かりませんでした。でも、本を読んで、いっぱいいっぱい勉強しました。エメリーンおばさんも、いろんなことを教えてくれました。病気なんだって。治せない、病気。
「ねえ、探せば何か見つかるんじゃない?病気なんだもん、治せるから病気なんでしょう?」
必死に訴えかけるあたしを見て、パパは少しだけ悲しそうな顔をして笑いました。
「そうだね。治せない私は、病とは呼べないのかもしれない」
パパはどうして、こんなときに笑うことができるのだろう。考えて、考えて、考えて
あたしにはちっとも、分かりませんでした。
「でも、この病気が原因で死ぬことはないし……私はね、」
パパはそう言って、やっぱり笑いながらあたしの頬をその傷だらけの手のひらで包みました。
「お前がいるから、私はつらい満月だって乗り越えられるんだよ。お前が待っていてくれるから、私はどれだけぼろぼろになったってここに戻ってくることができるんだ」
その眼が本当に、本当に優しくて、思わず泣き出したあたしを、パパはそっと抱き寄せてくれました。
そんなパパのことが、あたしは本当に、本当に本当に
大好きです。
Here we go!
さあ、行きましょうか