アルバス・ダンブルドアという男がいる。
これを読んでいるということは、君はきっと彼のことを知っているのだろう。そう、彼はこの地球上のとある場所にある、ホグワーツ魔法魔術学校の現校長だ。
彼はこれまで存在したどんな高名な魔法使いよりも偉大であると言う者もいれば、ろくでなしの耄碌ジジイだと嘲る者もいる。真に優れたものには、賛否両論があって然るべきだ。
彼は平生穏やかな空気を持った男だったが、いざという時には半月形の眼鏡の奥でその鋭い眼光を光らせた。彼は人の心を読めるのだと信じている者もいたし、何が正しいのかを正確に見極める力を持っていると思う者も少なくなかった。
しかし彼も、選択を誤ることは、ある。それは、至極稀有なことではあったのだが。
あの時だって。
いや、彼のあの選択は、あながち間違いとも言えないのかもしれない。だが彼があの手紙をふくろうに持たせなかったことは、確実にある人物たちに大いなる影響を与えたのだった。
君が知る物語の重大な鍵を握る、彼らに。
結局のところ、アルバスはあの手紙を彼女には出さなかった。故にこのような話をするのはまったく無意味なことではある。
しかし、僕はこれからその話をしようと思う。アルバスがあの時その手紙に向けて「インセンディオ、燃えよ」と唱えなかったとしたら。もしそうだとすれば、彼らはどんな未来を得ることとなったのだろうか。僕には興味がある。
これから僕は、君にその物語をしようと思う。君が彼らに本当に関心があるのならば、僕についてくるといい。