は……はどこ行った!」
あるところに、今まさに夫婦の契りを交わさんとしている一組の男女がおりました。

彼らはどこにでもいる、何の変哲もない普通のカップルでした。

ほんの少し、特殊な点はあったかもしれませんが、おおむね他の多くの男女と変わるところはありませんでした。




しかし、その日(、、、)を境に、彼らの人生は分かれ道を突き進むことになったのです。
「いいだろう、約束しよう」



「……スネイプ。スネイプを呼んで、今すぐ!」



「何が父親よ! そんなもの父親でも何でもない!」



「君のお好きなように」



「それでも……母は死んだわ」



「昔、あるところに野心に満ちたひとりの若者がおった」



「もう一度だけ聞くぞ。それは家族のためなのか?」



「神なんていない。分かってるだろう」



「もういい、下がって。あなたの顔なんて二度と見たくない」



「間違ったことをしてるとは思わない。だけど……だから、僕は……」



「昔話をしようか。多少は仲良くなれるかもしれないよ」



「あるはずない、誰にも……そんなもんあってたまるか!」



「そうやって、いつかわたしも切り捨てるの?」



「力になってやれなくて、悪かったな」



「ふたりがいてくれて、本当によかった」



「本当は彼に    真実(、、)を話してほしかったのではないのですか?」



「もう、迷いません」



真実とは、どこにあるのか。

それは一体    何なのか。
Puer puellae rosas donat
-after graduation-
music: 美しが丘−ピアノ− (遠来未来